トリガー舛本氏の著書「アニメを仕事に!」に見る、アニメ製作の実情とクラウドファンディング活用による相乗効果

2014年06月09日
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『キルラキル』やkickstarterで資金調達した『リトルウィッチアカデミア2』などで有名な株式会社トリガーというアニメ制作会社があります。
そこに所属している舛本さんが出された『アニメを仕事に!』という本を読ませていただきました。
内容はネットやニュースなどで取り沙汰される、アニメ業界における「制作進行」という役職について解説するものです。
その中で「製作委員会方式」というアニメにおける大事な仕組みが説明されています。それについてより強みを活かすというかたちでクラウドファンディングも大きく役立つのではというお話をします。

アニメ製作ってどうなっているのか

アニメ制作に関わっている方や、アニメファンの方はご存知のことと思いますが、アニメ製作には様々な会社が関わっています。
放送するTV局、声優さんの手配などをする音響製作会社、マンガや小説などの原作を多数扱っている出版社、
そしてアニメを制作するアニメ会社などなど。

当然アニメ制作自体は制作会社が作っていますが、実はTVで放送されているアニメの1話分でおよそ1200万〜1800万円かかります。
これをワンクール(およそ11話〜13話)制作すると2億円程度必要となり、アニメ制作会社だけでは現状まかなえていないところがほとんどです。
このためアニメに関わる会社(TV局、音響製作会社、出版社等)が資金を出し合い製作委員会というものを設立し、その資金を元にアニメを製作します。

製作委員会方式とは

製作委員会方式は上記の通り様々な関連企業が出資することで作品が産まれます。
また出資した企業は作品から発生する多くの権利を分配し、その権利をもってビジネスを行います。

製作委員会方式
公正取引委員会事務総局(2009)「アニメーション産業に関する実態調査報告書」

出資した企業には大きく3つのメリットがあります。

  • 多くの作品に参加ができる(ヒットする作品に関われる可能性が増える)
  • 自社の得意分野の権利を優先的に獲得できる(1作品に多数の権利が発生します)
  • 少額出資によるリスク軽減(全く人気が出なかった場合のリスクを軽減できます)

このようなメリットが機能し、私たちは多くの作品を楽しむことができています。
ただし、現状はヒットする作品の見極めが難しいことや更なるクオリティを求められているという課題もあります。

クラウドファンディングを利用するメリット

製作委員会にクラウドファンディングを組み込むことでこのようなメリットがあります。

  • 事前にどれだけのファンが作品に対しての熱量を持っているか知ることが出来る
  • ファンから出資してもらうことでより多くのお金を集めることができ、クオリティの向上に期待が出来る
  • 各社は今までどおり自分の得意分野の権利を獲得出来る
  • ファンに先に出資をしてもらうことで海賊行為による損失が軽減する

つまり、クラウドファンディングを利用することで、上記に挙げた製作委員会方式のメリットをうまくいかしつつ、制作会社とファンの距離が近くなることによるクオリティの向上などの相乗効果が生まれます。

最後に

著者の舛本さんは冒頭とあとがきでこう言っています。

”「アニメが好き」という気持ちをずっと大切にしたいのならば、その気持ちが一生続く居場所を(就職先を)ちゃんと探してください。じゃないと不幸になりますよ!”

もし、アニメに対する関わり方として新たにクラウドファンディングが、今後新たな選択肢の一つとして当たり前のようになると幸せな人が増えるのではないかと期待しています。

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)

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