「コンテンツを作るのはユーザー。ずん子ちゃんでは素材を作っていきたい」東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトで大成功を収めたSSS小田氏の展望(後編)

2014年06月25日
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「東北ずん子」という東北復興支援のために作られたキャラクターがいます。
東北企業であれば、商用利用も無料で、しかも申請なしで自由にイラストを使用できるという全く新しい仕組みで、東北に多大な貢献をしています。

実際に日々、東北のいたるところで東北ずん子を使用した商品が作られて販売されています。

そして、今回、クラウドファンディングでの東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトを大成功させ、この度ついに発売されたということで、東北ずん子の生みの親であるSSS合同会社代表、小田恭央氏にインタビューをしました。

前回は、クラウドファンディングを成功させる秘訣についてお伺いしました。
後編となる今回は、東北ずん子が長く愛されるキャラクターとなるために今後行っていきたいこと、クリエイターとの接し方など、アニメーションなどでクラウドファンディングを行いたいクリエイターの参考になるお話をお届けします。

前編:「LikeよりLoveを作ることがプロジェクト成功の秘訣」東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトを大成功させたSSS小田氏の考え(前編)

【インタビュアー:平皓瑛(グーパ株式会社代表取締役CEO)】

なにより大事なことは、東北ずん子を継続させていくこと

平:今後の展開についてお聞きします。今、アマゾンや阿佐ヶ谷アニメストリートのずん子ちゃんショップでボーカロイドの販売がされていますけど、秋葉原とかにはずん子ちゃんショップを置いたりするんですか?

小田:実は、我々自体はショップとかはあまり作らないというか、作らないようにしています。
それは、会社を継続させることを重視してるからですね。
ずん子ちゃんはインフラ化してきていて、インフラって潰したらだめじゃないですか。なので、会社を潰さないことが大事です。

平:なるほど。できるだけリスクの少ない経営をするということですね。

小田:出資も借り入れも役員だけなので、役員がいなくならない限り潰れないんですよ。
それに仮に潰れそうになったら、クラウドファンディングで土下座して、ずん子ちゃんを継続させるために法人税を集めるプロジェクトをすれば成立するかなと(笑)

店舗とかを出さないのはやはり固定費がかかってくるので、リスク要因になるんですよ。
ですので、今阿佐ヶ谷にあるずん子ちゃんショップも秋田の会社さんが運営しています。

平:オフィシャルグッズとかもなるべく出さないようにしているんでしたっけ?

小田:そうです。在庫を作らない為というのもありますし、東北企業さんのライバルにならないようにっていうのもあります。
我々が作ってしまうと、江戸村ににこ先生(ずん子ちゃんのキャラクターデザイン)とつながっている分、独自で好きなイラストとかを作れちゃうので、有利になってしまうんです。なので、それは良くないなって。

我々はずん子ちゃんを守り、継続していくことを大事にしていくことで、みなさんがチャレンジングなことができるかなと思っています。

平:今後どういったところに力をいれていくんですか?

小田:今、我々はずん子ちゃんの売れるところを作るっていうのをやっていて。例えば秋葉原とかのショップさんに挨拶まわりして、ずん子ちゃんを置いてもらえるようにして、ショップさんと東北の企業をつないであげることで東京で売れるようになると。

今まで地方のものを東京に持ってきて売るというのはけっこう難しかったんですけど、ずん子ちゃんという質の高いものがあるので、販路開拓がしやすいんです。
それで、そういったチャネルをどんどん公式は作っていって、東北企業さんとつなげれば、どんどん新しいものが生まれていって、結果的にずん子ちゃんも拡がっていくという仕組みですね。

コンテンツを作るのはユーザー。我々は素材を作っていきたい

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平:アニメ化とかは考えられているんですか?

小田:そうですね。ただ、ずん子ちゃんは自由になんでもやっていいよっていう特性上弱点もあって・・・。うちですべての権利を持っていなくてはいけないので、製作委員会が作りづらいんですよね。
製作委員会がある程度権利を持って、そのあたりを東北企業さんに告知したとしても無駄というか。わかりづらいから結局勝手に使っちゃうと思うんです。

平:そうなってくると、またクラウドファンディングで資金調達が必要になってくると。

小田:そうですね。あと、アニメに関しては、単価的なところもあってあまりペイできていなかったと思うんですけど、そもそもアニメってすごい量の素材があるのに、その素材を使いこなせていないってのもあると思っています。なので、アニメを作った際には、素材自体の販売もしたいなって。
そうなってくると製作委員会方式だと前例がないとか、権利的なところで難しいんですよ、やっぱり。

100%自社で権利を持っていると、例えば台本公開しますよとか、静止画を公開しますとかも簡単ですし、素材を自由に使っていいですよってなると商品パッケージとかにも使えますよね。
地方の商品を売るために何万円も払ってキャラを作るより、そのお金で素材を大量に買ったほうが使い勝手がいいじゃないですか。
そういうこともやっていきたいです。

平:どんどん拡がっていきますね!

小田:ずん子ちゃんは、コンテンツを作るっていうよりも、素材を作るって考え方を重視しています。
コンテンツを作るのはユーザーさんだと思っているんで。
アニメを公式が作るのは、一般的な拡がりを作るっていうのもありますが、どちらかというと、大量の素材ができるっていうのが非常に大きいところかなあと思っています。

アニメ製作で、そういう考え方でやっているところってないと思うんです。
私自身がメーカー出身というのもあって、部品の使い回しに対するこだわりがあるというか(笑)

平:なるほど。そういうところからもきてるんですね。

東北ずん子が、契約も申請もいらない理由

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平:小田さんは普段業務フロー改善のコンサルもされているということで、ずん子ちゃんでもそのあたりはかなり力を入れられているんですよね。

小田:そうですね。ライセンスとか契約周りのフローも気合入れて作っています。そのおかげでずん子ちゃんが成立しているっていうのもあるかと。

例えば、ずん子ちゃんは使用にあたって申請とかいらないようにしているんですが、申請が必要になってしまうと、会社側としてもその処理にすごい時間とか人件費がかかるじゃないですか。
回らないってのはわかっていたので、申請はなしにしました。

平:そのあたりでいうと、地方のゆるキャラの権利周りとかも研究されていたんですか?

小田:そうですね。あとはアニメの地方タイアップとかも見ていました。
アニメの地方タイアップってすごく時間かかっているんですよ。
地方って商品パッケージを作るのに慣れていないので、リテイクが増えて・・・。監修に回したりして何回もNGがでたり、アニメが始まる前から準備していても、商品ができるのは、放送終了直前とか終了後になっちゃうんですよね。

あとは契約をしないといけないので、そこでも最低いくらっていうギャランティーを地方は権利会社に払わないといけないので、試しに作ってみるというのができなくて、いきなり何千個とかを作ることになって、在庫を抱えてしまうんですよ。

なので、そのあたりを全部見なおして、改善するにはどうすればいいかっていうのを考えた結果、契約は結ばず規約のみにするとか申請はいらないようにするというところに行き着きました。

平:そうなると規約がすごく複雑になったり、更新を頻繁にする必要がでてくるんじゃないですか?

小田:そうでもないです。規約ってだいたい小さい文字でびっしり書かれていますが、そんなのはみなさん読まないので、分かりやすいものにしています。(東北ずん子のガイドラインはこちら

それに逆に我々が監修をしないっていうことは、こういった規約はゆるめたほうが楽になるし、ユーザーさんもいろいろできて面白いですよね。

平:いや、本当に参考になります。今後、クラウドファンディングをしたいと思っているクリエイターにメッセージとかあれば是非。

小田:むしろうちよりうまくやるところは多いと思うので、逆に教えてくださいって感じです(笑)

平:いやいや(笑)
ずん子ちゃんはスピード感とかファンとのコミュニケーションとか、お手本のようで非常に参考になります。プロジェクトってクラウドファンディングに出しただけだと、なかなかお金って集まらないので・・・。

小田:コミュニケーションといってもまだまだTwitterとかしかうまく活用できていないんで、そのあたりはもっといろんなコミュニケーションツールがあればなって思いますね。

平:なるほど。今回はありがとうございました。

小田:ありがとうございました。

(インタビュアー:平皓瑛、編集:穂積一志)

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Kazuyuki Hozumi

Kazuyuki Hozumi

Webディレクター / 編集
1989年生まれ。兵庫県出身。インターネットメディアの運営などをしています。アニメが好きです。
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