「LikeよりLoveを作ることがプロジェクト成功の秘訣」東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトを大成功させたSSS小田氏の考え(前編)

2014年06月24日
このエントリーをはてなブックマークに追加
sss

東北ずん子」という東北復興支援のために作られたキャラクターがいます。
東北企業であれば、商用利用も無料で、しかも申請なしで自由にイラストを使用できるという全く新しい仕組みで、東北に多大な貢献をしています。

実際に日々、東北のいたるところで東北ずん子を使用した商品が作られて販売されています。

そして、今回、クラウドファンディングでの東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトを大成功させ、この度ついに発売されたということで、東北ずん子の生みの親であるSSS合同会社代表、小田恭央氏にインタビューをしました。

クラウドファンディングを成功させるための秘訣や今後の展望など、前後編に分けてお届けします。

【インタビュアー:平皓瑛(グーパ株式会社代表取締役CEO)】

東北ずん子は東北の大震災の復興支援のために生まれました

平:まず、そもそも東北ずん子ちゃんのプロジェクトが始まったきっかけについておうかがいしたいのですが、やっぱり震災っていうのもあったんですか?

小田:ずん子ちゃんは東北の震災がきっかけでしたね。実は、ずん子ちゃんを始める前は、東北とは関係ない別の地方キャラでプロジェクトを進めていました。
しかも、それが3〜4ヶ月くらい進んでいて・・。3Dモデルとかもできていたんですよね。

で、震災もあったということで、そのプロジェクトはいったんやめて東北の支援につながるものにしようと。そこで新たにキャラから作り直すことにしました。

平:なるほど。震災からはどのくらいでずん子ちゃんができたんですか?

小田:ずん子ちゃんができたのは、2011年の10月27日で、その日はずん子ちゃんの誕生日にもしています。作り始めたのは震災のあった3月か4月くらいからですね。

平:じゃあ本当に震災があってからすぐにプロジェクトが始まったんですね。

小田:そうですね。前のプロジェクトはペンディングさせて、新しく東北支援の方向で再スタートしました。

それで、完成しただけだと告知効果がないので、その年にあった2011年のCreative Market Tokyo(以下、CMT)に応募してみようと。6月〜8月くらいに募集があったんですけど。

震災の年というのもあったので、ちょうどテーマの中に「復興支援につながること」っていう項目が入ったんですよ。
なので、前からプロジェクトを準備していたというのもあって、他の応募作品よりもいけるんじゃないかなあと。優勝は無理でも佳作はとれると思っていました。

結果、イラスト1枚での応募だったんですけど、準優勝(審査員特別賞)をいただいたんですね。

平:それはすごいですね。佳作とは全然違うじゃないですか(笑)

小田:それで、賞をいただけたので、賞をとりましたってことで告知がしやすくなるんですね。
普通の地方萌えキャラとかですと、地方自治体とか何かしらの後ろ盾があるじゃないですか。
私達は、地方キャラを作ろうとしてたときから、何もない状態から勝手に作ったので、何かしらの告知効果を作る必要があったんです。

平:なるほど。

プロジェクトを成功させるにはLikeよりLoveが大切

zunko
平:東北ずん子ちゃんのチームについてお聞きしたいんですが、今、榊さん(ジェトリックス代表取締役社長)や村濱さん(ゴンゾ元代表取締役社長、現LMD代表取締役社長)と3人でやられているということですが、以前から知り合いだったんですか?

小田:そうですね。数年前から定期的にお会いしていたような関係でした。で、いろいろお話するうちに、何かしましょうという話になって、地方萌えキャラやりたいですよねってことで今一緒にやっています。

平:実際に会社として今のSSS合同会社を作られたのはいつですか?

小田:2011年の1月ですね。その頃には、ずん子ちゃんの前にやっていたプロジェクトのほうもできてきた段階だったので。
でも、3月に震災があったのでやり直したって感じです。

平:SSSっていうのはどういう意味なんですか?

小田:特に意味はないです(笑)
今はないですが、以前にYYYっていう会社を作ったことがあったんですが、その時は横浜にいたからYにしようと思って。
でも発音しにくいなっていうのがあったんですね。それの反省で今回はSにしようと。
Sなら発音もしやすいし、いくらでも言い方あるなと。スーパーとかスマートとかソーシャルとか(笑)
後から意味は考えればいいやって思ってたんですけど、結局今も考えていないです。

平:なるほど(笑)好きに考えてくださいということですか。

それでは、クラウドファンディング周りでお聞きしますが、Anipipoを知っていただいたきっかけっていつですか?CMTでご挨拶させていただいた時でしたっけ?

小田:そうですね。確かCMTだったと思います。
使わせていただいた理由は「安いから」です(笑)

平:ありがとうございます(笑)

小田:それと、英語翻訳がありがたいっていうのもあります。
海外でのプロモーションってなかなか難しいんですけど、英語翻訳があったんでいろいろと役立ちました。海外のメディアとかにも載りましたし。

平:以前は、購買型じゃないクラウドファンディングを使われてたりもしてたんですよね?やっぱり小田さんの中で色々試してみようというのがあったんですか?

小田:そうですね。投資型も使ったこともあります。
でも、投資型って仕組みとかいろいろややこしくて・・・。
ずん子ちゃんみたいなコンテンツだと、やはり購買型のほうがステップとか仕組みとかが比較的シンプルで、ユーザーが手間取らなくていいですね。

平:今回、Anipipoを使う中で苦労したこととか難しかったところはありますか?ずん子ちゃんのプロジェクトはすごい伸び率で、Twitterとかにも結構張り付いてファンとコミュニケーションをとっていたと思うんですけど。

小田:そうですね。一番難しかったのは、ファンの取り込みというか、関係性を作る部分ですね。ずん子ちゃんはある程度クラウドファンディグを始める前からファンが少しいたのでまだよかったのですが。
こういったキャラのプロジェクトって、Loveをどこまで作れるかだと思うんですよね。

例えばゆるキャラとかだと、LikeかLoveかでいうと、Likeの人のほうが圧倒的なんですよね。Likeには人はあまりお金を費やさないけど、Loveな人は結構お金を費やすかなあと思います。

平:確かに、Likeだと応援はしたいとは思うんですけど、お金を払ってどうのこうのっていうのはあまりないですね。

小田:そうですね。なので、明確にLoveとLikeは分けて考えたほうがよいかなと。

平:結構ずん子ちゃんは愛されるキャラクターを目指すことを考えられていたんですか?

小田:そうですね。そこは考えていました。
Loveを作るにあたって、「商品を作りたい」という目的は多分ダメで、それより「ずん子ちゃんが◯◯できるようになる」っていうほうが大事な気がしています。

平:なるほど。

小田:例えばアイドルが、「ライブに来てください」っていうより、「武道館でライブをしたいから応援してね」という感じと似ています。

平:僕らの力で実現させてあげようってのが愛ですもんね。

小田:そうですね。Loveってそういうものなので、そこが結びつくようなプロジェクトにできればいいなと。「こんなコンテンツを作りたい」っていう作り手の気持ちっていうよりは、「このコンテンツで◯◯をしたいから応援してね」っていうような気持ちを大事にしています。

平:ずん子ちゃんがすごいなって思ったのは、常にそういった夢みたいなのを伝えていたじゃないですか。そういったものがあると応援したいなってなりますよね。

プロジェクトをうまく成功させ商品化するには関係者との信頼関係が大事

平:プロジェクトが成立した時の心境はどうでしたか?

小田:よかったなあっていう。(笑)

平:なるほど(笑)クラウドファンディングって最初の3日と最後の3日でプロジェクトの成立不成立が決まると言われていますが、そのあたりはいかがでしたか?

小田:確かに、最初と最後が一番伸びましたね。

平:プロジェクトが成立してから支援してくれたファンのもとにリターンが届くのって、特性上先に作れないっていうのもあって結構遅かったりするんですが、ずん子ちゃんの場合早かったですよね。

小田:そうですね。ボーカロイド化自体は時間かかりますけど、リターンに関してはグッズを設定していたってのもあるのでわりとすぐ作れました。

平:成立してからボーカロイドを作られるまではどういった感じでしたか?

小田:私達はそこまで忙しくなくて、やったことといえば佐藤 聡美さん(東北ずん子の声優)の日程調整とかくらいですね。
一番大変なのは、ボーカロイドを作っていたAHS(ボーカロイドのソフトウェアを作っている企業)さんですよ。

平:AHSさんにはどのタイミングでお願いしたんですか?

小田:クラウドファンディグを始める前からですね。関係者には、クラウドファンディングをやることについて了承をいただくのが案外大変だったんですけど。やっぱりリスクも含まれるんで。
でもそこは「頑張って成立させるんで」っていうことでなんとか許可をいただきました。信頼関係が大事ですね。

後編:「コンテンツを作るのはユーザー。ずん子ちゃんでは素材を作っていきたい」東北ずん子ボーカロイド化プロジェクトで大成功を収めたSSS小田氏の展望(後編)

(インタビュアー:平皓瑛、編集:穂積一志)

The following two tabs change content below.
Kazuyuki Hozumi

Kazuyuki Hozumi

Webディレクター / 編集
1989年生まれ。兵庫県出身。インターネットメディアの運営などをしています。アニメが好きです。
このエントリーをはてなブックマークに追加