【インタビュー】ファンをうまく巻き込み大成功を収めた3DCGアニメーション「Le Gouffre」の成功ストーリー

2014年06月30日
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2012年より3人のカナダ人アニメーターによって製作された8分の自主制作3DGアニメーション「Le Gouffre」。
カートゥーン調でもフォトリアル調でもない、ブラシで描かれたような3DCG表現を目指して製作された作品です。

しかし、この作品には当時まだ音楽が付いていませんでした。
そこで、「作品に付ける音楽」に必要な資金をKickstarterで募集。瞬く間に支援は伸び、目標金額$5000に対して$24,155を達成し、大成功を収めました。

今回は、「Le Gouffre」の製作メンバーにクラウドファンディングで大成功するまでのストーリーをインタビューしました。

Le Gouffre – Animated Short Film by Lightning Boy Studio — Kickstarter

一番大変だったことは、一人ひとりのファンとのコミュニケーション

― 資金調達の方法としてKickstarterを選んだ理由は何ですか?

最初にこの作品を作り始めた時はKickstarterも含めクラウドファンディングサイトを使う予定は無かったんだ。受託で仕事を受けて、貯金をして、それらの仕事を全て辞めてからこのプロジェクトをフルタイムでやることにしたんだ。当時はこのプロジェクトは1年で終わると思っていたんだけど、制作を進めていくにつれて僕たちが求めているクオリティーを実現させるためにはさらに1年かかることに気づいたんだ。

2回ほど政府からの助成金を申請したんだけど、それも上手くいかなかった。その時初めてもっと資金が必要であることに気づいて、クラウドファンディングを使うことを決めたんだ。

Kickstarterを選んだ理由としては、一番有名なクラウドファンディングサイトであり、ユーザーベースも大きいと思ったから選んだ。サイトは良く出来ているし、使い方も簡単で、皆知っていて信頼もしている。

― プロジェクトを始めるための素材や、チームを揃えるのにどれくらいの時間がかかりましたか?

プロジェクトを始めることを決めてから、必要な素材を用意するには1ヶ月ちょっとかかったね。僕らは3人というとても小さいチームでやっているから、全員かなり頑張って用意を進める必要があったよ。もちろん制作も同時進行で進める必要があったから、その月はかなり大変な月だったね。

過去に成功している他のプロジェクトを参考に、何が上手くいって何が上手くいってなかったかを研究した。動画やイラスト素材に関しては、もう制作を1年以上やっていたこともあって沢山見せれるものがあったよ。説明動画はたった2日しかかけずに制作が出来た。あとはブログ上にもうすぐプロジェクトの掲載を開始することを書いたよ。

― 掲載中は何人でプロジェクトを担当していましたか?どんなことに一番時間を取られましたか?

プロジェクトの掲載中はめちゃくちゃ忙しかったよ!プロジェクトに支援してくれた人への対応をしながら、制作を進めていたからね!
上の質問で答えているように、僕らは3人のチームなので、Kickstarterのためのチームとかはいなくて全員でプロジェクトを担当していたよ。様々なことが凄いスピードで起こっていたから、実際に何をどのように処理したかはちゃんと覚えていないんだよね。

色んな人が質問をしたり、コメントを残してくれたり、さらにこのプロジェクトに参加したいとまで言ってくれた人もいたんだ!(今回のプロジェクトに関しては気持ちだけ受け取ることにしたけど、連絡先を聞いて将来的に一緒に作品を作りたいとは思っているよ)大変だったけどプロジェクト掲載中に重大な問題が発生したわけではなかったね。

一番時間を使ったことは、一人一人の質問に答えること。これはかなり時間がかかったよ。プロジェクト終了後、クレジットカードが使えなかった等の理由で支援がキャンセルになってしまったことがあったんだけど、これらの支援者に連絡を取ったりする作業も時間がかかったよ。

― 成立後はどんなことが大変でしたか?(リターンの発送、キャンセル作業等)

僕らの作品はまだ完成していないため、支援者にはリターンをまだ送っていないんだ。ほとんどのリターンはデジタルで送れるものにしているから、スムーズに事が進むと思ってるよ!

もともといたファンたちが、プロジェクト達成を手助けしてくれた

― プロジェクトをプロモーションする上で、もっとも効果的だった方法はなんでしたか?またプロジェクトを盛り上げるためにどのような施策を行いましたか?

Kickstarterでのプロジェクト掲載で最初に助けとなったのは僕たちのファンベースだったよ。当時僕らがこの作品を作り始めたときにブログを始めて(Le Gouffre | Blog de production)定期的に作品の進捗を書いていたんだ。1年後には300人ぐらいのフォロワーが出来たんだ。

プロジェクトが掲載された直後はこのファン達が最初に支援してくれ、プロジェクトのことを拡散するのも手伝ってくれたよ。彼らのおかげで目標(低く設定していた$5,000)を7時間で達成することが出来たんだ。

― もともと知っていたファン以外の支援者は他にどこからプロジェクトのことを知って支援してくれましたか?

僕らの作品がKickstarterの「Project of the Day」に選ばれたんだ。これはかなりの露出があったね。
あとは多くのアニメーションに関する掲示板にも掲載したね。プロジェクトの全体的な雰囲気(真剣で真面目なんだけど、軽くて面白い紹介)が人々を巻き込む助けになって、僕らのことを知らない人も支援するキッカケに繋がったんだと思う。

最終的に支援してくれた人は、僕らの友人か、アニメーション産業にかかわっている人か、Kickstarterでプロジェクトを見て回っていて運良く見つけてくれた人のどれかだったよ。

― Kickstarterでプロジェクトを成功させたことで何か変わりましたか?

僕らのを完成品を観たあとで人々に何か影響があればいいなと心から思っているよ。現状の予告動画とプロジェクトの成功だけでは、まだ何とも言えないね。多くの人が素敵なコメントを残してくれたり、僕たちのスタイルとアニメーションを賞賛してくれているから、完成後にとても期待しているよ!人々が完成品を見てくれた時にストーリーも気に入ってくれることを祈ってるよ。

多くの人が「資金面」での成功に感心してくれて、どうやったのかを知りたがっている。このインタビューはKickstarterで僕らがやったことについて最も深く語っている記事になるよ!

自分のプロジェクトをとにかく楽しんで、そして愛すること。それが夢の実現への第一歩

― もしもう一度プロジェクトをやるとしたら、何を改善させますか?

もし違うプロジェクトをKickstarterでやるとしたら、もっと大きな目標を掲げた大作を目指すと思う。
今回のプロジェクトはあまり多くの「ストレッチゴール」を計画していなかったこともあって、目標金額を達成した後に、新しい支援者のためにオファーする内容があまり無かったんだ。僕らのプロジェクトで一番弱かった部分はココだと思う。
なので次回はストレッチゴールの改善を行うよ。

僕らの作品を完成品を見て、ファンベースがさらに大きくなってくれれば、将来のプロジェクトの大きな助けになると思っている。

― 日本にはまだまだクラウドファンディングの事例が少ないために、一歩を踏み出せない人が多くいます。そんな人達のためにアドバイスやメッセージを下さい。

僕らは日本のクラウドファンディング事情にはあまり詳しくないけれど、確実に言えることは日本には素晴らしいアーティストが沢山いるということだ。僕らが気に入っているアニメーションの多くは日本から来ているし、僕らの作品にも多くの影響を与えている。

僕らにとって今回のプロジェクトは「最後の手段」だった。最初から仕事を辞めてこの作品にフルコミットしていたからこそ、全てをかけて真剣に取り組むことが出来たよ。もし作品の制作を始めた一番最初の頃から2年もかかると分かっていたら、これほどのリスクは取らなかったかもしれないし、クラウドファンディングに頼り切る方法も思いつかなかったと思う。

でも夢を実現するためには、ちょっとクレイジーな考えを持ってリスクを取ることが必要なんだってことを今回僕たちは学んだよ。馬鹿正直に突っ走ったことが最後は祝福に繋がって本当によかったと思っている。

アドバイスはとにかく楽しむこと!自分が愛するプロジェクトをやって、お金のためだけにやらないこと。大変なこともあるかもしれないけれど、もし自分がやっていることを愛することが出来れば、最後には必ずそれ以上の価値としてあなたに返ってくる。そしてそれは作品にも表れてくるよ。

Le Gouffre – Animated Short Film by Lightning Boy Studio — Kickstarter

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Hiroaki Taira

Hiroaki Taira

代表取締役グーパ株式会社
1985年生まれ。小学校から高校卒業までシリコンバレーに在住。東京工芸大学にてアニメーションを専攻し、在学中に米国カーネギーメロン大学へ留学。留学中に出会ったタイの友人と2011年9月に起業。現在東京とバンコクの2拠点でゲーム特化型クラウドファンディングサービス『Crowdrive(クラウドライブ)』を運営中。
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