【インタビュー】不安を乗り越え2度のクラウドファンディンを成功させた、旅するブラウザゲーム「LikeRoute」

2016年04月15日
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「現実」を舞台に旅をするブラウザゲーム「LikeRoute(ライクルート)」。
実際にその場にいるような旅の体験ができ、各地域と繋がりながら続いていくブラウザゲームです。

本作はクラウドファンディングを活用して制作されました。
今回は、「LikeRoute」制作の合同会社DESVIO代表の高橋氏に、クラウドファンディングを活用したゲーム制作についてインタビューしました。

最初は不安でした

ーーまずは、2度のクラウドファンディングのプロジェクト達成おめでとうございます。はじめに、クラウドファンディングを利用した経緯などお伺いできますか?

DESVIO高橋氏(以下、高橋):
当たり前の部分ではあるんですが、ものを作る上で、お金が必要だなと。何かしらの作品のアイデアがあって制作に着手する際には、やはり色々とコストがかかります。ですが、その状況で資金を出してくれる人って基本的にはいないじゃないですか。
どうにか、自分の持っている(まだ形にはなっていない)アイデアを買ってくれる人はいないだろうかと、いろいろと調べていました。

ーー何かないかと探していた中でアンテナに引っかかったのがクラウドファンディングだった、と。

高橋:そうですね。調べているうちに、クラウドファンディングに行き着いた感じです。

ーークラウドファンディングを検討されている方からよく聞くのは「何となく怖い」だったり「不安だ」という声を聞きます。そのあたりはいかがでしたか?

高橋:最初はやはり不安でしたね。笑
アイデアにせよ作品にせよ人に見せる最初の時は胃が痛くなります。
「受け入れられるんだろうか?」や「誰に見てもらえるんだろうか?」だったり。
ですが、そこで怖がって止まってしまうと、何も生まれないじゃないですか。やってみてダメだったらダメで、くらいの気持ちでしたね。

ーー合計2度のファンディングを実施しているかと思います。最初に行ったファンディングは2014年でしたよね?今だからこそ、例えば「ファンディングの進め方」やハウツーなどの情報がネット上にもたくさんあると思いますが、その時点ではまだゲームのクラウドファンディングプロジェクトもファンディングに関する情報なども多くはなかった記憶があります。

高橋:そうですね。2014年の10月です。そこ頃はまだ現在ほどプラットフォームの数も多くなかったと思います。ゲームに関するプロジェクトも、先駆者はいましたが多くはありませんでした。
情報も結構調べましたね。まったくないわけではなかったんですが、国内でやっているインディータイトルや小規模タイトルでのファンディングの事例は、あの時点では多くありませんでしたし、そんな状況だったので難しいかなとは思いつつも・・・トライしました。

ーー実際ファンディングを始めるまでに、これぐらい支援(金)が集まるだろうみたいな予測はありました?

高橋:そうですね。最初のプロジェクトは20万円が目標だったんですが、失敗するのは避けたかったので現実的なラインで設定した感じです。必要額ははっきり言ってもっと欲しかったのですが、どだい無茶な金額設定をしても絶対に集まらないし、失敗したら失敗したで悪い方向に転がっていくと思うんですよ、一個失敗すると。現実的な金額のところで設定して、周りにはこういうことをやっているので、どうですか?って声がけして初動を伸ばしていこうと考えました。

無計画にやっても支援を集めるのは難しい

ーー実際やはりファンディングが不成立(失敗)することのネガティブさは考えますか?

高橋:はい。特に日本人は失敗に対しての恐怖感が強いと思っています。与えるイメージなどもあるので、個人的にはやはり極力失敗は避けたいと思っていました。なので、失敗しないように組んで、失敗しないように算段立ててやったほうがいいと思います。無計画にやっても知名度のない人間が支援を集めるのは難しいと思いますから。

ーー海外のkickstarterなどのプラットホームを見ると、ガンガン失敗してガンガン試していく人もいると思うんですが、日本とは何が違うと思いますか?

高橋:土壌が違うと思います。チャレンジの国じゃないですか。あとは支援者の層や期待値の差があると思います。日本人はあまり形のないものにお金を払いたがらない印象があります。国民性の違いもあると思うのですが、日本人は投資するということ自体あまりしないじゃないですか。ただモノを買うっていう購入観念があると成り立たないんですよね。
ここに難しさを感じます。
そういうこともあり、今の状態で、これから作るよっていうアイデアの段階のゲームとかコンテンツ系のクラウドファンディングが日本に根付くのはなかなか難しいのかなと思います。
イベントの参加権などがリターンだとすごくわかりやすいと思います。わかりやすいものには、お金も出しやすいと思うのですが。

ーー2015年の国内のクラウドファンディングのサイトを見ても「まだ見ぬものを生み出します、作り出します」というプロジェクトの数は全体の中でも少ないと思います。すでにで出来上がっているものをどうやって生産ラインに乗せるか、量産体制にするか、いわゆるテストマーケティングの場所として利用しているプロジェクトの方が多いです。

高橋:その怖さ(新しいもの未知のものを生み出すことに対してのリスクなどのネガティブさ)が起案者に伝播してしまっているというのはあるのではと思います。

一番のお返しは、作品を作り楽しんでもらうこと

ーー実際に事前にイメージしていた、クラウドファンディングを実施した際のユーザーさんの動きだったり実際にクラウドファンディングをやってみたギャップはありましたか?

高橋:ギャップ・・・どうでしょう。キックスターターの感覚だと全然違うんだろうなという予想はしていました。日本人の国民性的にも自分の知名度的にも、難しいだろうなとは思っていたのですが、実際難しかったです。

ーーそこは事前の認識として持っていたと。例えば、リツイートはしてもらえるけどそれが直接支援には繋がらない、だったり。

高橋:そうですね。ライクルート自体がフリーでできるゲームなので、お金につなげるというのと、反響や感想につなげるというのはまた全然別の話になってきます。支援につながるというところだと、リターンが担う部分が大きいとは思います。
そのリターンも難しいですよね。できればそのリターンと開発が並行して返せるものがいいんじゃないかなと思います。リターンは工数やコストなどしっかりと考えて設定した方がいいと思います。

ーー確かに、リターン設定は非常に重要だと思います。

高橋:大規模なプロジェクトであれば多少のリターンのコストや工数が出ても大した問題じゃないかもしれませんが、小規模な私たちのようなところはただでさえ色々な部分を切り詰めて制作しているので、リターンの設計を間違えると自ら首を絞めかねません。制作の重荷になることもありますし、物品の場合はロットが少ないので余計に割高になる可能性もあります。

ーーリターンを制作すること自体がネックになってしまう、という問題はみなさん抱えていると思います。デジタルリターンのみにしている起案者の方々もいますね。もっと様々な形があっていいかもしれません。

高橋:私が考える支援していただいた方への一番のお返しは、作品を作り上げることです。そしてその作品を楽しんでいただくことだと思っています。もちろん、だから作品以外のリターンをないがしろにしていいというわけではないのですが。
そういったことも踏まえ、2回目にファンディングを実施した際にはモノではなくデジタルリターンを多く設定しました。
 
ーーちなみにまたクラウドファンディングやるとしたらどんな工夫をしますか?

高橋:どうでしょうか。また状況が変わってくると思います。開発の度合いも変わってくると思いますし、現段階ではなんとも言えないですね。もしやるとしたら、その頃にはもっとコンテンツも増えている状態なはずなので、プロモーションとして機能するような形で利用したいとは思います。もう既に2回やっているので、あまりたくさんやっても、という気もしています。しっかりとリターンを返しきったら、そこでまた考えようかなと。

ーー国内で複数回ファンディングしている事例はまだあまり多くないと思います。

高橋:そうですね。レアケースですね。笑

ーーファンディングをして、作品を作りきって、また新たにファンディングして、という流れは新しいですよね。それまでは銀行や投資家の方々から集めるしかなかった開発資金などを、ユーザーさんや支援者の方々から集め続けて持続していくというカタチが機能するのであれば、なかなか面白いんじゃないかなと、個人的には思っています。

高橋:そうですね。それは考えています。
ただ、その機能をすべてプラットホームに移譲するかというとそうではなくて、自社でそういう仕組みを作っていけるとさらにうまく回っていくのかなと思います。
現状だとリターンなどの理由で、決して費用対効果が高いわけではないと思うので、コンテンツの名前が通るようになれば、支援も集まりやすくはなるのかもしれません。
ですが、小規模プロジェクトはやはりその辺厳しいと思います。厳しいというか、効率的にはあまりよくはないのかなと思います。
大手の同人サークルさんなどの、ある程度体力とリソース、知名度のある中規模プロジェクトなどですと、クラウドファンディングの効力が最大限発揮されるのかなと思います。

クラウドファンディングサイトにはより個性が必要になる

ーー先ほどはリスクについてお伺いしましたが、今後のクラウドファンディングサイトに期待することはありますか?

高橋:サイトごとに特色があるじゃないですか。レディーフォーなら社会貢献、キャンプファイヤーだったら創作系だったり、クラウドライブはゲーム特化。それぞれ違った磨き方が必要になるのではないかと思います。アプローチの仕方も変わってくると思います。
クラウドファンディングサイトに期待するのは、人集めではないでしょうか。母数が増えればそれだけ確率は増えると思いますし。どういった人をどれだけ集められるかが大事なのではと思います。

ーーおっしゃる通りです。

高橋:難しいとは思います。クラウドファンディングサイトも乱立の時代だと思いますので。  

ーークラウドファンディングをやってみて変わったことってありますか?

高橋:あまりありません。とにかく自分はコンテンツを作ることが第一ですので。
実際、1作目の公開直前は胃に穴があきそうでした。商品や製品というと皆さんチームで作ったりすると思うのでそれぞれに責任が分散するから少しマシかもしれませんが、基本的にすべて自分(個人)なので。以前フラッシュゲームを制作して公開する時も胃が痛くなりましたが、それ以上でした。
公開後2,3日は脱力してましたね。クラウドファンディング始まりした!って告知もできないくらいに。

ーー周囲への告知はどうされました?また周りからの反応はありましたか?

高橋:基本的にはtwitterでした。あとは以前キャラデザを担当したゲーム経由で知ってくれたユーザーさんが見にきてくれたりしていました。

ーー自分で何人くらいにリーチできるかっていうのが最初の母数になるところではあると思います。
海外のクラウドファンディングだと6か月くらい前から仕込んでそれ専用のランディングページの作成し、ファンを集めて初動に活かすなどもやっているようです。今後のゲームのプロモーションはどのように進めていく予定ですか。

高橋:今まではtwitterでしかやってきていませんでした。今後は、場所を舞台にしたものなので、リアルな場所でポストカードやパンフレットなどを置かせていただいて目にとまるようにしたいなと思います。土地を舞台にするので、その土地の観光協会などに置かせていただいたりできないかなと掛け合ってみるつもりです。大きく宣伝をすることはできないので、作品の数を増やすことがネットワークで見かける機会が増えるかなと。
まずはやはり作品を作って、足で稼いで、現地のお店や関わった場所に持って行って露出できたらと考えています。

ーークラウドファンディングプロジェクトを運営する上で一番時間を取られたのはどんなところでした?

高橋:リターン周りと文章制作でしょうか。リターン周りは手を変え品を変え。リターン制作の負担はどのくらいかだったり、決めるのが大変でした。リターンのウエイトは重いです。

ーープロジェクトを盛り上げるための施策などはありましたか?

高橋:twitterで視覚的に、イラストを描いてアプローチを心がけました。

ーーSNSを使ったプロモーションはいかがですか?

高橋:やらないよりはやったほうがいいと思いますが、やはりベースになる知名度がないと余程上手くやらないと難しいんじゃないかと。Facebookは使用してないのでわからないのですが。

ーー今後のライクルートの展開について教えてください。

高橋:旅や場所を題材にしたゲームは他にもありますが、ブラウザ上でできるものは他にはないと思っています。ブラウザゲームとして展開することで、コンテンツを増やしていけるという強みがあるので。そこはなかなか面白いんじゃないかなと思っています。
地道にちょっとづつファンを増やしていけたらいいなと思います。
自分が納得できるものを作って、こじんまりとじゃないですが。丁寧に作品を作っていこうと思います。
加えて、海外からの観光客の方々にも発信できたらなと思っています。自分が作っているのは観光案内というわけではなく、あくまで娯楽を主目的としたコンテンツですので、やり取りや会話を楽しんでもらえれば、ただ案内の文章を読むだけよりも知識が身につくと思います。
日本人の自分が作っているので、もちろんその考え方等も反映されていると思います。そういった文化面での理解を深めてもらうのに、いくらかは役立つのではないかなと期待しています。

ーー観光客や海外ユーザーへのリーチが増えると色々な可能性がもっと見えてきそうですよね。今後のさらなるご活躍期待しています!本日はありがとうございました。

高橋:ありがとうございました。

■ブラウザゲーム「Like Route(ライクルート)」はコチラから↓
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■合同会社DESVIO:http://desvio.co.jp/

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